特集
日本の食料供給を支える北海道
掲載号:2024年11月号
北海道は、小麦や牛乳、ホタテやサケなど、多くの農畜産物や水産物で全国一の生産量となっており、日本最大の食料供給地域としての役割を担っています。
北海道が全国1位の主な農畜産物や水産物
(全国に占める北海道の農畜産物や水産物の生産量シェア(令和5年度) )
※農林水産省のウェブサイトで公表されている統計データを用いて作成
日本を代表する米どころ北海道
北海道米は、全国トップクラスの作付面積と収量を誇り、さまざまな品種で安定した収量の確保と多様なニーズに応えています。食味ランキングでは「ゆめぴりか」「ななつぼし」が10年以上連続で特Aを獲得し、全国的な評価を受けているほか、北海道米の道内食率(道内の米消費量に占める北海道米の割合)は、目標とする85%を12年連続で上回っています。
道では、品種改良による生産性の向上や先端技術の導入による省力化に取り組むとともに、道産品の高付加価値化やブランド力の強化、リスク分散に対応した輸出拡大の推進、販路拡大などに取り組んでいます。
新品種の開発
よりおいしく高品質な農産物をつくるためには、品種改良が重要です。なかでもお米は、冷涼な気候下で育つおいしい品種を目指し、道内各地の農業試験場が品種改良の努力を重ね、「ゆめぴりか」や「ななつぼし」などの北海道を代表する品種が誕生しました。一億粒ものお米から、たった一粒の優れたお米を見つけ出す品種改良の仕事は、これまでの技術に加え、改良を加速化させるための新たな技術を活用しながら、消費者ニーズと農業の課題に応える新品種を生み出しています。
■新たにデビューする北海道米新品種 そらきらり
ことし、市販のお弁当などの「中食」や、飲食店などでの「外食」向けのおいしいお米「そらきらり」がデビューします。「そらきらり」という名前は、この品種の誕生の地である北海道の米どころ空知地方の「そら」と、お米の粒が「きらり」と光って見えることをかけあわせて名づけられました。
主な特徴
- 中食・外食に適しています
- きらら397と同じく中食・外食向け用途に適した食味特性を持っています。
- 病気に強くSDGsの達成に貢献
- 稲の代表的な病気「いもち病」に対して抵抗性が強く、薬剤の使用回数を減らせるため、環境負荷を軽減できます。
- 安定して優れた収量性
- 北海道のどの地域でも安定した収量が見込めます。
■北海道米の主な品種
【ゆめぴりか】
特に粘りの強い品種の一つです。白いごはんそのものを味わうのがおすすめです。
【ななつぼし】
北海道米のなかで最も生産量が多い品種です。味と食感のバランスが良く冷めてもおいしいため、お弁当やお寿司などにおすすめです。
酪農王国北海道
北海道は全国の生乳の約6割を生産しており、酪農は重要な基幹産業の一つです。また、北海道は、日持ちのしない生乳や牛乳、貯蔵できるバター、チーズなどの乳製品を需要と供給の状況に応じて調整しながら、全国に安定的に供給する重要な役割を担っています。
■スマート農業技術の取り組み
北海道では、スマート農業技術を活用した酪農の省力化が進んでいます。道では、搾乳ロボットや餌寄せロボットなどの導入、リモートセンシング技術※による衛星画像を活用して、牧草を省力的に栽培する取り組みなどを推進しています。
■生乳から生まれる豊富な加工品
生乳からは、牛乳をはじめ、私たちの食卓に欠かせないバターやチーズ、ヨーグルトなどさまざまな乳製品が作られています。
■消費拡大の取り組み
道では、北海道牛乳普及協会などと連携して、6月の牛乳月間(父の日に牛乳(ちち)を贈ろう!)でのPR活動や牛乳・乳製品利用料理コンクール、ミルク&ナチュラルチーズフェアなど、牛乳・乳製品の消費拡大に向け取り組んでいます。詳しくは、道や北海道牛乳普及協会のウェブサイトをご覧ください。
◇道庁畜産振興課
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/tss/a0002/syouhikakudai/
◇北海道牛乳普及協会
https://www.milk-genki.jp/
道産水産物の販路拡大
■「食べて応援!北海道」の全国展開
道産水産物の消費拡大キャンペーン「食べて応援!北海道」を昨年秋から全国で展開し、これまでの取り組みの結果、ホタテの国内消費は着実に拡大しています。
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/sr/gid/TOH_campaign.html
■「とれてます!Oh!!さかなフェア」の開催
近年漁獲が増加している、ブリ、マイワシ、ニシンを対象にフェアを開催し、魅力を発信しています。新しい北海道の旬の魚をぜひ味わってください。
https://ohsakana.com/
■アメリカでホタテをPR
道産ホタテの輸出額が昨年比で約1.5倍になっている米国市場に向けたPRの取り組みとして「Hokkaido Premium Night (JETRO主催)」が、ことし8月、ニューヨーク市内のレストランで行われ、ホタテをはじめとした道産食材をメインとした料理と道産ワインや日本酒とのペアリング、さらに鈴木知事のプレゼンテーションを通じて、現地のシェフやレストラン関係者、流通業者、フードブロガーなどにPRしました。参加者からは、道産食材のおいしさや質の高さへの評価の声をいただきました。
道庁成長産業課
TEL.011-204-5464
道庁国際課
TEL.011-204-5343
北海道どさんこプラザ
「北海道どさんこプラザ」は、北海道が開設するアンテナショップで、道内で製造・加工された道産食品を販売するほか、開発した商品を一定期間販売し、販売後にフィードバックを得られるテスト販売制度の実施など、道内企業のマーケティング支援拠点としての役割を担っています。おかげさまで、昨年度の売り上げは全店舗合わせて約37億円と過去最高となり、ことし7月には、第1号店である有楽町店が開設25周年を迎えました。現在、国内外に18店舗を展開しており、今後、帯広市と旭川市への開設を予定しています。
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/sss/marke/dosankogaiyore.html
道庁食産業振興課
TEL.011-204-5766
食料安全保障の強化に最大限貢献
北海道の農業は、恵まれた自然と豊かな大地の下で、先人たちのたゆみない努力の積み重ねを礎に、北海道の重要な産業として発展を遂げ、こんにち、大規模で専業的な経営体を主体とする生産性の高い農業が展開されています。
北海道は、日本最大の食料供給地域として、食料安全保障の強化に最大限貢献していきます。
輸入依存度が高い品目
北海道の食料自給率
第6期北海道農業・農村振興推進計画では、北海道の食料自給率を令和12年度に268%まで向上させることを目指しています。
新たな食料・農業・農村基本計画の策定に関する国への提案
世界及び日本の食料をめぐる情勢が大きく変化していることを受け、国では、食料安全保障の強化などを柱に、「食料・農業・農村基本法」を四半世紀ぶりに改正し、現在新たな食料・農業・農村基本計画の策定を進めています。
ことし7月には、道や農業団体、経済団体、消費者団体などの18団体と道議会のオール北海道で、農林水産大臣に対し、計画の中で北海道を重点地域として位置づけることなどについて、政策提案を実施しました。道では、基本計画の策定に向けた議論に参画しているところであり、基本計画が北海道の実情を反映したものとなるよう、引き続き取り組んでいきます。
特集に関するお問い合わせ
道庁農政課
TEL.011-204-5375