FEATURE 特集

食べて応援!北海道

中国等による日本産水産物の輸入停止措置により、ホタテをはじめ、たくさんの道産水産物が行き場を失っています。
漁業者・水産加工業者の皆さんが努力を重ねながら生産している安全・安心でおいしい道産水産物を、みんなで食べて応援しましょう!

道産水産物は大きな影響を受けています

東京電力福島第一原発のALPS処理水の海洋放出に伴い、2023年8月24日、中国は日本産水産物の全面輸入停止を発表しました。以降、中国への輸出向けに生産された道産水産物は行き場を失っています。
道産水産物の道内港からの中国向け輸出額は、2023年6月までは前年比110%以上で推移していましたが、輸入停止措置が始まった8月は前年比約30%、9・10月は0%となりました。これにより、道産水産物全体の輸出総額も減少しています。大きな影響を受けている道産水産物はいまどのような状況なのでしょうか。
道内の漁業団体に現状と今後の取り組みについてお話をうかがいました。

「食べて応援!北海道」キャンペーンロゴマーク

INTERVIEW

北海道漁業協同組合連合会
代表理事会長

あべ くにお

阿部 国雄さん

道民の皆さまの温かい応援に感謝して、北海道のおいしさをお届けします。

中国による輸入停止措置の影響を教えていただけますか。

中国向けの輸出割合が大きかったホタテについては、まず短期的な影響として、8月時点で、中国向けに販売する計画で製造していた製品が行き場を失ったことが大きかったです。
しかしながら、「道産水産物を応援しよう」という報道や道民の皆さまの働きかけが大きな力となって、ホタテ製品全般を底支えしていただき、何とか事態は改善されつつあります。本当にありがたいと思っています。
また、長期的な影響として、道産ホタテ水揚げ量の約4分の1が中国に輸出されていたことから、引き続き販売先の再構築が求められています。

消費拡大に向け、どのような取り組みを進めていますか。

ホタテを含めた国内販売の拡充については、皆さまの応援のおかげで、ふるさと納税やスーパー、飲食店向けの営業も功を奏し、消費は着実に広がってきています。北海道ぎょれんとして、広報活動や企業とのコラボ販促、食育活動などを引き続き進めていきます。
また、海外での消費拡大として、台湾・シンガポールでの道産ホタテの輸出促進を兼ねた料理教室や、台湾での北海道フェアなどに取り組んでいます。

道産水産物をより一層食べていただくために、道民の皆さんにメッセージをお願いします。

輸入停止措置を機に、道民の皆さまの温かい応援がこれほど大きくなるとは予想もしていませんでした。心から感謝を申し上げます。
食べていただく機会が増えると「おいしい」という声も多くなり、漁業者ももっといいものを作ろうと励みに思うことができます。
おいしい道産水産物をより多くの道民の皆さまに食べていただけるよう、一層の努力をしていきますので、今後とも応援をよろしくお願いいたします。

道の取り組み

道産水産物を食べて応援するキャンペーンを展開中!

道では、道内の漁業者・水産加工業者の皆さんを応援するため、ホタテなどの道産水産物の消費を促進するキャンペーンを展開しています。ぜひ道産水産物を食べて応援してください。

ホテルで、旅館で、食べて応援!北海道

道・北海道観光振興機構では、道内宿泊事業者と連携して「ホテルで、旅館で、食べて応援!北海道」プレゼントキャンペーンを実施しています(2024年2月15日(木)まで)。
対象の宿泊施設で食べた海鮮料理(道産・国産)を撮影し、Xまたはインスタグラムに「#hokkaidolove」をつけて投稿すると、抽選でデジタルギフト(500円分)が15,000名様に当たります。ホタテが当たるWチャンスも!

「食べて応援!北海道」どさんこプラザ一斉キャンペーン

「北海道どさんこプラザ」の国内外全18店舗では、水産物を中心とした道産食品の販売促進フェアを行っています。特設コーナーの設置、販促パネルなどの掲示、PR動画の放映などを行っています。お近くの店舗にぜひお立ち寄りください。

道庁食産業振興課
TEL 011-204-5766

「食べて応援!北海道」 キャンペーンサイト

「食べて応援!北海道」キャンペーンふるさと納税の取り組み

ふるさと納税を活用した道産水産物支援の取り組みとして、道では、北海道ウェブサイト内に、水産物支援特設ページを立ち上げ、北海道の取り組みのほか、ふるさと納税ポータルサイトの各社や道内の市町村における水産物支援特集ページをご紹介しています。ぜひ特設ページをご覧いただき、ふるさと納税を通じた道産水産物の応援をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

ふるさと納税ポータルサイト各社の水産物支援の特集ページ

道庁食産業振興課
TEL 011-204-5766

北海道水産物応援ページ

民間事業者の取り組み

製造スタッフに衛生管理教育を徹底

国際基準の衛生管理で安全・安心な水産物を世界へ

丸ウロコ三和水産株式会社(紋別市)

丸ウロコ三和水産は、創業55年の水産加工会社。オホーツク海全域から仕入れのできるルートが強みで、主力商品のホタテをはじめ、良質で鮮度の高い水産物・水産加工品を生産しています。
従来は、冷凍貝柱などホタテ加工品の約2割を中国に輸出していたことから、輸入禁止は大きな打撃となりました。そうした状況下でも、北海道のおいしい水産物を多くの人たちに届けようと、新たな販路拡大に取り組んでいます。
同社製品の安全・安心を支えているのが、2014年に取得したHACCP※認定です。「鮮度の高い食品を扱う以上、安全・安心の付加価値を高めることは当社の使命。国際基準の衛生管理を継続することが信頼につながると考えています」と同社社長の山﨑和也さん。
さらにFDA(米国食品医薬品局)など輸出先ごとの各認定や必要な認証なども取得しており、オホーツク産の水産品は世界で高い評価を受けています。
「最近では、アメリカ、台湾、オーストラリア、東南アジアなど新たな輸出先が増えました。道内外からも、ホタテを使ったコラボ商品や外食産業でのキャンペーンなど多くの応援企画をいただき、励みになっています」と手ごたえを感じているようです。

※HACCP(ハサップ)は、Hazard(危害)、Analysis(分析)、Critical(重要)、Control(管理)、Point(点)の5つからなる国際基準の衛生管理手法。

HACCPに対応した水産加工施設

いま道産水産物にどんな変化が起きている?

皆さんは、店頭に並ぶ魚の種類を見て、北海道の水産物が少しずつ変化してきていることにお気づきでしょうか。
例えば、2011年には10万トンを超える漁獲があったスルメイカやサンマは、2021年には1万トン程度となっています。一方、近年の好漁続きで漁獲量が増大しているのが、マイワシ、ブリ、ニシンです。こうした魚種の変化には、気候変動に伴う海洋環境の変化が影響していると考えられています。

安定的な生産を目指す栽培漁業の取り組み

道では、漁業資源の変化に影響されにくい安定的・計画的な生産体制づくりに向けて、北海道に適した新たな養殖手法の検討を行っています。その一つが、木古内町で進めてきたサクラマスの養殖試験です。
2021~2023年度の間に、種苗から出荷サイズに育成するまで約8カ月間の試験飼育を2回行い、さまざまな基礎データを取得。魚体の生育状況を把握したほか、飲食店等の意見を踏まえて食味の改善を行うことができました。
今後も、養殖魚の品質向上やコスト削減など、さらなる生産性の向上を目指していきます。

サクラマスの養殖試験

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